失敗しない家づくり
家を建て替えるにあたり、失敗しない家づくりのポイントについて、取り上げてみます。
1、業者選びのポイント
●各依頼先のメリット・デメリットを把握する。
依頼先には、大きく分けて「住宅メーカー」・「工務店」・「設計事務所」の3タイプがあります。
それぞれメリット、デメリットがあり、何を優先するかによって依頼先も変わって来ます。まず、各依頼先のメリット、デメリットを十分理解した上で依頼先の絞込みを行うと良いです。
依頼先の選定の判断として第3者の専門家の率直な意見を聞いてみるのも一つの方法です。
●希望する工法、仕様の得意な建築会社に依頼する。
希望する建物の工法を何にするかで依頼先も変わります。工法には一般的に木造軸組工法・ツーバイフォー工法・プレハブ工法等があり、希望の工法が、経験豊富で得意な建築会社に依頼する事が大事です。
なお各種工法にはメリット、デメリットがあり敷地条件・プラン・建物規模・地盤強度・価格・工事期間等のさまざまな条件に一番適している工法を採用する事が一番望ましく、第3者の専門家の率直な意見も参考にすると良いです。
●希望する建物イメージの得意な建築会社に依頼する。
家づくりに対する考え方や価値観は十人十色。その中で自分の希望する建物イメージに合った、住宅の経験豊富な建築会社に依頼しましょう。
また、担当する営業マンや設計担当者が、あなたの希望する建物のイメージを十分に理解している事も重要です。
●建物引渡しまで担当窓口が一定な建築会社に依頼する。
住宅の計画段階から建物引渡しまで、多くの日数を要します。そのため、建築会社は少しでも早く契約に持ち込むために営業マンは契約するまでは一生懸命対応してくれますが、いざ契約が完了すれば設計担当者に引き継がれ、今までの動きが嘘の様に営業担当者の動きが変わるケースが見られます。
これは、工事に入っても同じ事で、営業マンは次の客を追いかける事を優先するからです。
当然、分業システムで行っている場合は、各専門部署に引き継がれて行くわけですが、担当窓口は1本化で対応出来る建築会社に依頼する方が、スムーズに物事が進みます。この様な現象は住宅メーカーに多く見られます。契約前にどの様なシステムになっているか事前に確認する事も重要です。
●技術力がしっかりした建築会社に依頼する。
依頼先を工務店で検討中の場合、建築士・施工管理技士など、建築に関する有資格者の人数を調べてみて下さい。有資格者の人数で、だいたいの工務店の能力が把握出来ます。また、不明確な内容や施工対応、及びよく起きる手抜き工事個所や欠陥住宅につながる重要な個所の施工対応を事前確認する事で、技術力の判断ができます。
尚、住宅メーカーはマニュアルが整備され、特殊なプランや納まりをしない限りは、一般的には問題はありません。ただし、下請け工務店が施工する為に協力工務店のレベル 及び工事担当者のレベルにより、施工能力に大きく差が出ます。住宅メーカーの工事監理体制が、きちんと確立されているか確認を取るようにしましょう。
また設計事務所に依頼する場合は、住宅の経験が豊富な設計事務所に依頼してください。なお設計事務所でも木造住宅について、経験不足の事務所が多いので注意が必要です。
●現場担当者の保有物件数に注意。
設計・施工一体型の住宅メーカー、または工務店へ依頼する場合は、特に工事について十分な注意が必要です。現場監督が工事監理者も兼ねるので内輪の検査となり、会社の利益確保を優先し、欠陥住宅・手抜き工事の発生率が高くなります。また住宅メーカーの現場監督は物件数を多く持ち、下請け工務店まかせになる場合が多いので、必ず工事監理体制を確認し、工事担当者がどれぐらいの物件を持っているか確認しましよう。
2、失敗しないプランニングのポイント
●経験豊富な設計担当にプラン提案をしてもらう。
住宅のプランは、ただ単に間取りを描くのではなく、そこで生活するライフステージにより最善のプランを検討し、細部に渡る使い勝手、落ち着いた空間づくり、日本独特の四季の移り変わりに適応させるなど、さまざまな検討が必要です。住宅設計を専門に対応している経験豊富な設計者に提案してもらう事をお勧めします。
住宅を専門に扱っている第三者の専門家にチェックしてもらう方法も、お勧めです。
●実際の寸法・広さを確認する。
机上のプランでは、なかなか解り難いものです。部屋の広さ・ユニットバスの広さ・キッチンの使い勝手・扉の開口幅・廊下、階段の広さなど、現在住んでいる建物の寸法を測って提案プランと対比してみましょう。
また、キッチン・ユニットバスなどの住設メーカーのショウルームや住宅展示場にて実際に確認するのも参考になります。ただし住宅展示場は、住宅メーカーがお客様を集客するために、高いコストをかけて豪華にし、さらに玄関・階段・ローカなど広めに建てていますので注意して対比検討してください。
●プランの中で生活してみる。
建築会社から提案されたプランの中で、日常の生活を検討してみて下さい。家族一人一人が、朝起きてからトイレ・洗面・食事など生活の行動を検討し、動作がスムーズにいく間取りになっているか、また将来の家族構成やライフスタイルの変化に合わせて、対応しやすいプランになっているか、隣家の窓と干渉していないかなど、様々な生活動作をプランの中で検討する事により最善のプランが生まれてきます。
●自然を有効に取り入れる。
日本には四季と言うすばらしい自然の恵みがあります。人間は自然と共に生きることが、最適です。今後の生活において、自然の光と風を感じ取れる住宅がお勧めです。
●じっくりとプランを練る。
住まいの良し悪しは設計で決まります。設計には、プラン・仕様・設備・カラーコーディネート・建物性能などの様々な検討が必要です。後悔しないようにあせらず、納得したプランを作り、で十分に検討する事が大切です。
工事が始まって、少しずつ形が見えて来た時点で変更する場合、余分な費用が発生し、また建物の性能にも影響するので、そのようなことがないように十分検討することが大切です。
3、上手な価格検討のポイント
●数社見積で比較検討する。
住宅の価格は各社独自の見積システムを採用しているため、素人には分かりにくいです。
よって、数社から相見積を取り、適正な価格競争をされた方がよろしいです。
その場合、同じ工事内容(工事範囲・仕様・グレード・建物性能)・施工条件にて見積り依頼をしなければ、適正な見積比較検討ができません。専門家の支援を受けて対応することが賢明で、スムーズです。
●同じ工法で見積比較を行う。
住宅メーカーというのは、他社との差別化を図り、独自のオリジナル工法にて、見積対比を避ける戦略を取っています。また、工務店と住宅メーカーとを見積比較しても、総建築費の比較は出来ますが、あまり意味がありません。
まずは、工法を絞り込んで見積比較を行なった方が、良いです。
●仕様・設備を明確にして見積比較を行う。
業者の良いようにされないためにも、またトラブルを防ぐためにも、各建材・設備の仕様・グレードを明確にすることです。安さだけで決めると逆に後で一番高い建築会社と契約した事になりかねません。建築会社まかせにせず、情報収集の中から整理して、仕様・グレードを自分自身で決め込んでください。なお目に見える部分の仕上材などは、見積比較検討が解り易いのですが、構造材や下地材などの隠れる部分が素人には解りづらい部分です。ごまかされ易いところでもあります。出来れば第3者の専門家のアドバイス・支援を受け、各建材・設備の仕様・グレードを明確にし、思い描いている住宅のイメージ・性能を確実なものとして、見積比較をすることを勧めます。
●建物性能を同一にて見積比較検討を行う。
平成12年10月より発足した住宅性能表示制度にて、構造の安定性・耐久性・耐火性など、住宅に求められる建物の性能レベル基準が制定されました。この性能表示制度は任意の制度で、あえて申請費用がかかりますので、しっかりした建築会社に依頼する場合は、本申請する必要性は有りませんが、見積比較検討を行う上で、この性能基準を上手に活用して対応する事をお勧めします。なお性能表示制度の性能基準は、専門的な知識が必要で第3者のアドバイスをうける事をお勧めします。
4、工事請負契約で失敗しないポイント
●計画内容を十分煮詰めた上で契約に臨むこと。
営業マンは、会社から出された月々のノルマがあり、早く契約するための、様々なトークを用意しています。一生に一度の大きな買い物なので、安易に契約せずに、急がず時間をかけてプラン・仕様・建物性能・価格を十分に検討し、納得した形で契約するようにしましょう。
●今までの打合せ内容が契約書に盛り込まれているか。
営業マンは早期契約するために、時にはオーバートークを使う事があります。契約するまでの打合せ事項、疑問点の確認内容などが契約書に明確に記載されているかチェックしましょう。もし、記載されていない場合は、打合せ議事録を契約書に添付するか、特記事項に必ず明記した状態で契約することをお勧めします。
●建物の目に見えない部分には要注意。
先行契約での最大の問題点は、工事が進むにつれて隠れて行く部分の仕様が不明確な状態で契約することです。ここが不明確になっていれば、手抜き工事・手配や施工ミスがあっても建築主には解らず、また発覚しても生産者側の都合の良い言い訳で終わってしまいます。契約書には必ず細部に渡って仕様が明確に記載された仕様書を添付して契約する事をお勧めいたします。
住宅メーカーでは、その商品の細部に至までの仕様・納まりを表した社内用マニュアルが用意されていますので、関係する項目の資料を入手し、必ず確認してから契約するようにして下さい。また工務店では、マニュアルが用意されていない場合が多く、特に注意する事が必要です。工事が進むにつれて隠れて行く部分はシステムキッチン・ユニットバスなどの住宅設備やクロス・フローリングなどの仕上材と違って専門的知識が必要です。第3者の専門家に契約図面と共に、細部にわたる仕様のチェックをしてもらう事をお勧めします。
●契約約款の内容確認を行いましょう。
契約書類には、概要を表した契約書と、細かい取り決めを表した契約約款が添付されます。契約約款は各社、生産者側の都合の良いように記載されているケースが多く、必ず契約約款の内容を事前に確認し建築主の不利益になる項目を、相手先に修正を申し出てください。
内容も確認せず契約を行なって、後々何らかの問題が発生した場合の対応で、予期せぬ費用が発生し建築会社とトラブルになる事があります。
「転ばぬ先の杖」難しい言い回しの文章が書かれていますが、解らない事は相手先に確認するか、第3者の専門家にチェックしてもらい、アドバイスを受けてから工事請負契約を締結する事をお勧めします。
5、欠陥住宅をつくらないポイント
●地盤調査を行う。
軟弱な地盤に家を建てると、地盤沈下(家全体が沈む)や不同沈下(軟弱な部分だけ傾いて沈む)を招く恐れがあります。「念願のマイホームを建てたけど不同沈下し始めた」「新築後たった1年で、家が傾いて窓が開けられない」と言ったトラブルは、このようなところから来ています。
地盤によるトラブルを避けるためにも、必ず地盤調査を行って下さい。前回購入、或いは建てた時には問題がなくても、近隣の地下水位の変動など、地質が変化する事も考えられるため、調査を行うことをお勧めします。そして、地盤補強が必要かどうかなどを始めとして、第3者の専門家のアドバイスを受ける事をお勧めします。
地盤の耐力が有るのに、地盤補強が必要と言って追加金額を請求される場合も考えられますので、特に地盤補強の判定には注意して下さい。
●構造図や仕様などの重要な図面を作成する建築会社に依頼する。
平面図・立面図・断面図などの縮尺1/100の一般図や簡単な仕上表程度の図面しか作成されず、工事を行うケースを見うけます。
色々な業種の職人さによって工事が進められますが、一般図程度の図面では、営業担当者や設計担当者と打合せした内容が現場に伝わりません。仮に概略は伝わっても、施工者の都合の良い納まりや品質の材料が使われ、見積内容と違う施工(手抜き工事)が行われてはたまりません。また、その施工者が、技術レベルが低かったら欠陥住宅を招くことにもなります。
本当に信頼できる建築会社は、詳細図や特に重要な構造関係の図面を建築主に提出し、納得されるまで内容の説明を行い建築主との意思の疎通がないようにします。一般図のみで重要な図面を提出せず、細部の明確化を図らない建築会社は要注意、依頼は避けたほうが無難です。
●重要なポイントの施工対応を契約前に確認する。
建物の耐震性能や耐久性能を損なう、重要な個所の施工対応がどの様に行われるか、契約前に書面にて建築会社に事前施工確認を行いましょう。それが無理なら、最悪、工事着手までに書面にて確認を行って下さい。
本来、工事請負者が建物の品質向上を図るために、事前チェックや職人さんへの指示を行うものですが、利益確保を優先するため、未チェック状態で大工さんや職人さん任せにし、隠れる個所の施工手順の違いや、未施工状態で「手抜き工事」や「欠陥工事」が発生しています。これを事前に防ぐために、手抜き工事が多発する項目や建物の性能を左右する重要な個所について、事前に施工確認を行い欠陥住宅の防御策を講じるようにしましょう。
尚、施工チェックは専門的要素が多いので、第3者の専門家の検査(第3者監理)を受けて対応することをお勧めします。
●実施設計図の内容を十分に把握する。
住宅を施工するために必要な実施設計図の内容が、契約時に取り決めた内容と違いはないか、また建物完成後、目で確認できない部分についての仕様確認を、十分に行いましょう。
会社の利益を優先させて、工事が進む段階で、隠れる部分を勝手に仕様変更する事が、多々有ります。
なお、実施設計図面の解読には専門的知識が必要です。欠陥住宅・手抜き工事を防ぐためにも、現場検査と合わせて、第3者の専門家に実施図面をチェックしてもらう事をお勧めします。
●施工現場に頻繁に足を運び工事内容をチェックする。
建築主の立場で設計図面通りに工事が行われているかをチェックするために、工事監理者が法律上必要です。
しかし、現場監督と同じ人物が兼任で工事監理を行っているか、もしくは社員でなくても、施工会社に頼まれた人が、業者側の立場で監理を行っているケースが多いです。そのため、本来あるべきチェック機能が働いていません。
その様な施工体制が原因で欠陥住宅が生じるのですが、それを防ぐためにも頻繁に足を運んで、現場の重要なチェックポイントの施工状況を確認して下さい。
また、写真を撮るのも一つの手段です。業者の勝手な都合で建築主の目に届かない所で変更されたり、手抜き工事を未然に防ぐ事が出来ます。
特に、構造関係、及び雨仕舞いに関する施工は重要です。
なお専門性が高いので第3者の専門家に検査(第3者監理)してもらう事もお勧めします。
6、その他
●建て替えの考え方のポイントですが、まずは現在の家の築年数や構造の状態を考えます。そして、現在のライフスタイル、家事の状況、現在の家の気に入っている点及び不満な点、これからの生活設計、新しい住まいへの要望、部屋の希望、家具などの寸法、自分にとっての住まいとは何かなどの問いかけなど、自分に当てはまる部分を書き出してみます。それから、土地の状況・構造・予算などに基づき、信頼できる専門家に相談しながら、十分な検討を行うことです。
●見学会に頻繁に足を運ぶことです。基礎、建築構造、新築など色々なパターンの見学会に参加すると良いです。そして、複数の業者から相見積を取ります。自分が勉強することで、業者と納得が行くまで、話をすることが出来ます。また、業者選定にも役に立ちます。
●建て替えると、前の家より小さい家しか建てられないケースが生じます。
これは建築基準法や条令が変わったため、「建て替えが出来ない土地」「建て替えると、今の家よりも小さな家しか建てられない土地」というケースがあります。そのため、家が小さくなってしまうケースが生ずることがあります。
●建て替えのメリットは、何といってもプランの自由度にあります。それに加えて耐震や断熱・防音など、最新の性能を備えた家にしやすいところにあります。一方、デメリットは、まだ使える部分も壊して新しく作るので、引越しや仮住まい、登記の費用なども含め、総工事費が高くなります。以上のメリット、デメリットを踏まえて、どのように建て替えを行うか決めることです。
●新築やリフォームの場合だけではなく、建て替えの時も、家具や家電などを購入されるのでは、ないででしょうか。場合によっては、建て替え前よりも光熱費が増えるケースがあります。単なる建て替えの費用だけではなく、日常生活に関連した様々な出費のことまでも、考えることが必要です。また、そういったことをしっかりとアドバイスしてくれるような業者と付き合っていくことも大事です。
●家が道路面よりも高い位置にある場合、その高低差に相当する部分を法面と言います。この法面は、家を支える重要な土台となります。つまり、この面がしっかりしていないと、家を新しく建て替えた時、土台となる土が崩れ落ちることになります。よって、このままでは家を建て替えることはできません。たとえ、それまで家が建っていて、建て替える場合にも言えます。よって、そんな予算は考えていない!ということにならないように、この分の費用も、頭に入れておく必要があります。